2018
03.20

会社売却に成功したオーナーが積み上げた「判断」

M&Aで会社売却をする心構え

正しい決断は正しい判断の積み重ねが大前提

弊社は、偶然・幸運や気合・根性による成果を否定しません。むしろこういう要素があるからこそビジネスって面白いと思います。しかし、事業経営に成功された創業オーナー社長様は、『ビジネスとしては第一に事実(ファクト)論理(ロジック)』があり、その上に、『サプライズ(偶然・幸運)努力(気合・根性)がある』と考えておられる方が多いと考えています。事実をベースに論理的に判断した結果(判断材料)を積み上げて、重要な意思決定(決断)をするのが、優秀な経営者の鉄板思考回路ではないでしょうか。ましてやM&Aという外部第三者に対して重大な意思決定を促すためには、事実と論理以外のものに過度に依存するのはリスキーであると考える立場をとっています。もちろん、事実と論理を煮詰めきった後、残るは偶然・幸運・気合・根性なのはM&Aでもまったく同じですが、土台となるとはファクトとロジックです。

では、その思考回路に違和感のない方が、M&Aによる会社売却という最大級に重要な決断をするにあたり、どのような個々判断材料を積み上げていくべきでしょうか?

M&Aの会社売却という取引で最終的に下す決断は、
■ 誰に
■ どういう条件で
会社を売却するかですね。
より重要なのが、条件(=売却価格)であるのが一般的だと思います。

売却条件について『自分なりの納得を得た「判断」』が下地にあれば、『腹を括った気持ちよい「決断」ができる』と思います。

しかし、筆者がM&Aの世界で長年仕事をしてきた中で気づいたこととして、
✔ 決断を下すために必要な「判断が積み上げていないうちに「決断」を下してしまったオーナー様が数多くいる、
✔ その原因はシンプルで、会社を売却する決断のための「判断の種類」を知らない、知っていても「判断基準」を持っていない、
✔ つまり、M&Aについて無知であるまま、M&Aという取引に参加してしまったことが原因です。

できるだけM&A知識を自分の頭で理解していただきたいと思っています。

 

積み重ねるべき判断材料の種類

売却条件を左右する重要な要素について、あらゆる選択肢を合理的に検討し尽くしたかどうかが重要と思います。

また、M&Aは自分1人で決められる取引ではなく、決まった型というものもありません(あるとしたら業者都合のもの)。そこで、M&Aの相手である買い手(バイサイド)の「判断」と「決断」についても考え尽くさねば、自らの「成果(=条件)」も望めません。

■ そもそも自社の価値の客観評価が十分にできているか?
■ 売却タイミングは適切か?
■ 考えうるすべてのバイサイド候補を網羅したか?
■ それぞれのバイサイド(買い手)に十分な判断材料(情報開示)を提供し効果的に提案したか?
■ 考えうるバイサイドとのシナジー効果を十分に検討し効果的に提案したか?
■ 可能性のあるストラクチャーを十分に検討し効果的に提案したか?
■ 交渉の最終局面まで継続的に「バイサイド間の競争環境」が残せる方法を採用したか?
■ M&Aを成功させるための費用は適切か?
■ M&Aを実行した場合に新たに発生、今後も継続する負担リスクは許容できるか?
■ M&A取引に関連して発生する税金(所得税・相続税・贈与税等)の節税余地は残っていないか?
■ M&A取引後の会社との関わり合い方は許容できるものか?
■ M&A取引後の役員・従業員の処遇は納得できるものか?
■ 情報漏洩リスクを適切に管理できる方法でM&A活動を実施したか?

これらの「個々の判断」のすべてにおいて”重要な問題なし“であれば、”適切な交渉を経た“と言えるため、「決断」できると思いますし、あとで「後悔しない」と思います。

しかし、多くの中堅・中小M&Aでは、手間がかかる上記の判断材料の多くで落第点の状態で、最後まで進んでしまって最適水準を大幅に下回る条件、もしくは、機密情報が漏洩しただけで不成立で終わるケースが多いのが実態です。
1つは、セルサイド(売り手)が無知であること、または勉強の努力を避けたこと
もう1つは、M&A業者がセルサイドの無知につけこんで楽して儲けようとしたこと
が原因でしょう。

しっかりとアイミツをとってからM&A業者を選定すべきです。

徹底的な質問責め」をすれば回避できるリスクであることが大半です。
最低でも、意味のある質問をするため、M&Aに関する基礎知識を仕入れておくべきです。

上記の判断材料を積み上げていくプロセスをセルサイドに提供することこそが、セルサイド(売り手オーナー)のために働くセルサイドFAを始めとするM&A助言業者のミッションだと思います。

 

 

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