2019
04.03

売上もあるし黒字なのに売れない会社の特徴

M&Aで会社売却をする心構え

売上はある、利益も出てる、純資産もある、でも売れない会社」が存在します。安くても売れない会社ということです。

一方で、売上はほとんどない、純資産もペラペラ、なのに、しっかりとした価格で売れる会社もあります。

一体何が違うために、このような天地の差が生まれるのでしょうか?

 

M&A会社売却の最終意思決定は、売る側ではなく買う側ですから、どんなに売る側が良い会社だと思っていても、買う側が欲しくなければ絶対に売れません。

 

欲しがられる会社はどのような会社なのか」を知ることが重要です。

 

通常の事業経営でも、

①自社の商品特性や競合商品との差異を客観的に分析し、

②KYC(Know Your Customer)情報を必死に集め、

③ペルソナ設定をしながら、

④マーケティングのPDCAサイクルを回し、

⑤より多く、より高く売るための努力をするはずです。

 

テレアポ営業で打診してきた卸売・小売業者1社に社運を任せるというリスクを取る経営者で、M&A会社売却ができるまで成長させられた方は今までにみたことがありません。

 

M&Aでもまったく同じです。

 

まずは「自分を知り、お金を払ってくれるお客さんを知る」ことが出発点です。

自社に欠陥がないか、客観的にどう見えるか、バイサイドは自社の何に魅力を感じ負担やリスクを感じるのか、を徹底的に検討するステップは非常に重要です。

 

買収失敗事例はよく紹介されます。

「価格が高すぎた」「DDが不十分で重要なリスクを見落とした」「環境変化を読み間違えた」など、さまざまな買収失敗の原因分析がされています。

 

しかし、「売れてもおかしくないのに売れなかった原因」の分析はあまり見かけません。

上場大手M&A仲介会社の公表資料によてば、1000社の売却希望を受け付け、成約するのは100社程度(10%)とのことですから、900人(90%)のセルサイドオーナーは「売りたくても売れなかった人」という結末です。この中には廃業を選択した人も数多くいるでしょうし、M&A助言会社に支払った報酬負担や経営者の時間的負担のせいで、廃業の時期が早まった会社もあるかもしれません。

 

「世に出なかった潜在M&A案件がなぜ成立しなかったのか」については、基本的には「会社」に問題があるか、「M&A助言会社」に問題があったのだと思います。

 

後者の選択で失敗していなければ、ターゲット企業を欲しがる会社に打診されているはずですから、ターゲット企業に潜む売れない原因があったのでしょう。

 

今からご説明するような要素が会社に潜んでいる場合、急いで売却活動に入ると「時間と労力の無駄」、「情報漏洩による競争力低下」が残るだけになる可能性があります。

しかし、「売却を急がずに、しっかりとした事前治癒」をすることで、急いで売る場合の何倍もの価格で売却できるケースもよくあります。

注意すべきなのは、「通常の経営で問題がないものでも、M&A的には問題視されるものがある」という点です。

M&Aのプロに客観的に評価してもらいながらM&A的な欠陥を治癒することで、効率的かつ効果的に「売れる会社」「高く売れる会社」に変身できる可能性があるかもしれませんから、ぜひ、冷静にご自分の会社を評価して、用意周到に準備していただきたいと思います。

 

「(目標設定が合理的である限り)あらゆる課題には解決策がある」ということです。

 

売れない会社1:競争優位性が終焉間近

昨今、急速な技術革新によって、経営環境が激変している企業はたくさんいます。今までは競争優位を堅持していたものの、経営環境が激変し、遠くない将来において、今までの強みが経営の足を引っ張るという逆転構造にある場合、売りにくい会社となってしまいます。

 

売れない会社2:経営支配権の欠陥

極めて影響力の強いフランチャイズ本部の下で経営している加盟店企業は、鶴の一声で経営が揺さぶられることになるので、基本的に売りにくい部類に入ります。

圧倒的な元請企業がいる下請企業の場合も同様です。誰しも管理不能な要素がはっきりしている会社を欲しいとは思いません。

 

売れない会社3:後継者交代が困難

創業オーナー社長が優秀すぎる営業タイプの社長である場合、個人プレーで大半の顧客との関係を維持している場合があります。この場合、オーナー社長が引退すると同時に売上の大半を競合に奪われるリスクが高いという評価になりかねず、基本的に売りにくい会社となります。

ここまで経営者依存度が高くないとしても、優秀な経営者が引退を前提としているならば、後継者が育成されていないと判断されてしまえば、すぐに経営の引継ぎが可能な同業にしか売却できなくなってしまい、足元を見られてしまうリスクが高まります。

 

売れない会社4:売上の先取構造

前受金を受領し、それを原資に広告宣伝等をして、顧客を急速に獲得して成長する事業モデルを継続してきた場合、顧客数が頂点、つまり、市場内で獲得可能な顧客を獲得しきったた途端に、自転車操業から恒常的赤字体質に転換してしまいますから、これをバイサイドに見破られてしまうと、売りにくい会社となってしまいます。

 

売れない会社5:巨額のCAPEX

売上も営業利益も純資産も、本来的に株式価値を決定付ける数字ではありません。重要なのは「今後のフリーキャッシュフロー」です。仮に売上がしっかりあって、営業利益もしっかり出ていても、巨額の事業用固定資産が老朽化していて、新しい設備に入れ替えるために巨額の投資(CAPEX)が必要な場合、フリーキャッシュフローが激減してしまいますから、希望条件で買収してくれるバイサイドは少ないでしょう。

 

売れない会社5:巨額の偶発債務

企業にはさまざまなステークホルダーが存在します。特に、顧客のみならず近隣住民等の生命・健康に影響するリスクのある事業を展開している場合には、最悪の事態が起きた場合の損害賠償額が巨額にのぼるリスクがあるので、このリスクを合理的に低いと説明できない場合には売りにくい会社になってしまいます。

他にも大きな偶発債務がある場合、売れないまでも株式譲渡契約書等で、極めて厳しい条件が課されるリスクが生じます。

 

売れない会社6:巨額の簿外債務

多くの中小企業は厳格な会計処理をせず、税務会計を顧問税理士の指導の下、もしくは顧問税理士に丸投げしているのが通常かと思います。税務会計は、税務申告上の所得を計算できればよいので、貸借対照表が楽観的に放置されているケースがあります。つまり、未払残業代・社会保険料、退職給付引当金、資産除去債務等は巨額になることもあり、バイサイドとしては簿外債務をキャッシュフローベースで考慮すると、負担が重すぎて買収できないということもありえます。環境汚染されている土地を保有していて、この価値が株式価値の大半を占める場合などは売ることが非常に困難になる可能性があります。

 

以上、他にもいろいろありますが、キリがないので典型的なものに限ってご紹介しました。

 

えてして、高く売れる条件である「ユニークさ」は、裏を返すと「リスクそのもの」にも見えてしまうものです。

セルサイドオーナーは、M&A助言会社に依頼して、着手金等を支払う前に、「本当に売れそうか」「売れにくい要素をどのように説明すれば売れるようになるか」M&A助言会社に質問しましょう。

ピンチはチャンス」と言いますし、上記のような状況の会社でも好条件で売却できたケースも実際に存在します。

ただし、「ピンチをチャンスに変えられるのは、変わる努力をした人」のみです。

事前準備が明暗を分けるのがM&A会社売却です。

 

ちなみに弊社SCAは、セルサイドDDサービスを組み込み、発見された欠陥の治癒のためのサポート(企業価値向上コンサルティング)等も、一般的なM&A助言サービス(ファイナンシャル・アドバイザリー)に加えてご提供しております。

M&A売却額に連動する成功報酬を引き上げるための準備でもありますので、コンサルティング会社へ委託した場合の数分の一の費用負担で済みますから、まずはお気軽にご相談(無料)いただけますと、「M&Aを成功させるための条件」、「失敗を避けるための努力の内容」を把握できると思います。

 

 

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