2019
09.30

「M&A以外の方法は?」と質問すると困り顔になるM&Aアドバイザーは?

M&Aのチーム管理

アドバイザーという職業ほど、慎重に信用力調査した方がよい職業はないかもしれません。

誠実さ能力という意味で。。。

〇〇アドバイザーなる職業の大半はサラリーマンで、実は自分が経験したことがない、自分が抱えられるリスク範囲では到底できないこと、をお客さんにやってもらって、お給料をもらっています。

〇〇アドバイザーの一種、かくゆうM&Aアドバイザーの大半も、自分で会社を起業したことがないし、改善成長施策を実行したこともなく、ましてや自ら資金調達したり、IPOしたり、M&A会社売却したこともありません。なぜか他人の会社の売り買いでお金儲けを続けています。

 

もしも他人にアドバイスできるほど有能なら、自分でやればよいのに!なんで自分でやらずにお客さんのリスクでお金儲けしているの?」という素朴な疑問を持たれるのは当然でしょう。

創業オーナー社長に、アドバイスすることができるほどの能力(スキル)を前提とした報酬を貰うなら、それだけの能力(スキル)を示してもらわないと!

 

M&Aアドバイザーにとって痛い質問

本当に知りたいのは、

・ベンチマーク比の超過達成幅(上場類似企業の倍率との比較でどうだったか、有名M&A助言会社の売却予想金額の何倍で売却できたか)であったり、もしくは、

・売却支援中の業績改善幅(売却額を決める要素の1つであるEBITDAをアドバイスによってどれだけ増大させたか)、

受託した案件のうち、実際に売却に成功できた案件の割合(成約確率)、

つまり、「実弾」としての売却支援の能力の程度でしょう。

それなら高い報酬を払うことに納得できるはずです。そのアドバイザーに頼んだおかげで手取りが大幅増するのですから、無料よりも安い、最高コスパということになります。

売却額2億円で両手で10%取るなら2000万円、最低報酬2,000万円なら3,000~4,000万円がM&A仲介業者に流れていって、セルサイドの手元に残るのは僅かに1.6~1.8億円となりますが、

同じ会社の売却額を5億円にアップできる有能なM&Aアドバイザーなら、片手報酬5%だけなら報酬は2,500万円だけ、手元には4.75億円も残ります。

M&Aのコスパは、絶対額に加えて、「手元に残る額÷報酬額」で計算してみてください。※税金計算は除く(個人は法人で変わるので)。

 

伝統的なM&Aアドバイザーは、Financial Adviser(財務アドバイザー、FA)と呼ばれますが、お客さんのお金を預かって運用する投資顧問業者もFinancial Adviserと呼ばれます。

後者は、TOPIX等の株価指標よりも高いリターンだったか、リターンがマイナスを避けられたか、とったリスクに見合うリターンだったか等で評価され、運用報酬の料率もその評価次第で上下します。

M&Aの世界では、なぜかお客さんが本当に知りたい指標(成功確率とか、ベンチマーク比何倍かとか、コスパとか)ではない指標(成約件数とか、着手金無料とか)による宣伝が盛んです。

上場株の売買はお金があればだれでもできますが、M&Aは取引を成約すること自体が大変なので、という事情はありそうですが、セルサイドオーナーからしてみれば、「俺(私)の会社をM&Aでどうしてくれそうなの?」が知りたいことのはずですから、成約件数は無関係ですし、むしろ失敗件数と失敗原因を知りたいでしょうし、僅かな着手金があるとかないではなくトータルのコスパを知りたいはずです。

 

そんなM&Aアドバイザーに対する一番痛い類の質問の1つに、「M&Aが一番良い方法なんですか?他にもっと良い選択肢はないんですか?」があります。

 

今回は、あまり説明されない論点である「M&Aだけではなく、M&A以外の解決策を併せて検討する重要性」についてご説明します。

この質問に納得感の高い回答を誠実にしてくれるM&Aアドバイザーの場合、M&A内の選択肢についても、問題の少ない、魅力的な選択肢を用意してくれるはずです。

何よりも、長丁場のM&A交渉において、最後の最後まで信用できるパートナーになってくれるかどうかの試金石となります。

 

M&Aの特徴は、

会社の経営権をキャッシュに替えることのできるほぼ唯一の手段であるとともに、

経営権を第三者に渡してしまうため、取返しのつかなさもほぼ唯一レベルであるという点です。

 

オーナーにとってドラスティックな変化を及ぼし、重要なイシューが数多く因果関係が複雑であるため、総合的に納得できる結論かどうかを評価することが難しいわけです。

そのため、後悔しないためには、1つ上の層での意思決定思考(『M&A以外の解決策を含むすべての解決策の中でM&Aという解決策をどう位置付けるか?』)についてしっかりと整理しておき、そこで整理した思考を傍らに置きながらM&A上の個別判断を積み重ねていくと、後悔しようのない決断ができるはずです。

ぜひ、本当に最初の相談時に聞いてみてください。

M&A以外の解決策として他にどんなものがあり、それぞれのメリット・デメリットについて、M&Aとの比較の観点を絡めて説明してほしい」と。

M&Aの要素を含む、総合的な知識、理解力、解決力、等のM&Aバンカーとしての能力を簡潔に推し量れます。

 

M&A取引の基本的性質

M&Aは、「経営権の譲渡を伴う資本の取引」と言い換えることができます。

M&Aで会社売却をすると、通常、経営権の全部(又は一部)が他人の手に渡りますので、「会社の今後の意思決定についての自由」が消滅(または制限)されます。

同時に、その対価として、「キャッシュ(もしくは同等の価値のある資産)」を入手できます。

簡単に言えば、「会社の将来の意思決定権と果実受領権を手放し、今のキャッシュに替える」取引が、M&Aという解決策(ソリューション)です。

例外は色々あるものの、例外にも限界があるので、基本的にはこんな感じで捉えていただくとよいでしょう。

 

M&Aセルサイドの典型的ニーズ

M&Aにおけるセルサイドオーナー(売り手オーナー)は、

・事業の次の所有者探し(事業承継難)

・新事業/主力事業への集中(カーブアウト)

・投資利益の実現(Exit)

・株主の整理/資金調達構造の整理(過去の精算)

・成長パートナー探し

・アーリーリタイヤ

等といったニーズがあるためにM&Aという選択肢を検討されているのだと思います。

整理しやすいのが中小・零細企業の事業承継難です。

上場もできず、「もうM&Aしかない」という状況に至っているケースが多いので、他の選択肢の検討の余地は少ないでしょう。

しかし、それ以外のニーズでは、本当にM&Aが最良なのかは細かく聞いてみないとわかりません

 

オーナーの嗜好性

さらに、個別の事情が複雑に絡み合い、どれを優先し、どれを必須、どれを妥協範囲とするのか、といった点で、オーナーの嗜好性が多分に影響します。

リスクを取ってでも最大の成果を得られる可能性を追求したいリスクテイカーか、安定重視のリスク回避型か、さらに、これが論点毎にコロコロと変わるのが人間という複雑な生き物の思考回路です。

M&Aのような重要な取引を検討する際には、非常に多くの論点について、意思決定して、相手と交渉して、結論を出す必要がありますが、これが第三者から見ると、結構な矛盾を抱えている意思決定をしているケースに遭遇します。

これは、M&Aアドバイザー(特にセルサイドに就くM&Aアドバイザー)の、オーナーとのコミュニケーション不足が原因なのかもしれません。

M&Aでは同じ取引は二度とない」と(昔は)表現されていたのは、こういった背景に真摯に取り組むと、オーダーメイドのソリューションを用意しなくてはならないからです。

 

オーナー自身が自分を理解できていないケース

弊社は数多くのセルサイドオーナーのニーズを伺うにあたり、「ご自身のニーズを本当のところ理解されていないオーナー」にしばしば遭遇します。

なぜかというと、M&Aだけでもかなりの複雑系です。IPOもかなりの複雑系です。その他の選択肢も複雑系で、その相関関係、メリット、デメリットの分析作業はかなり高度な知識が必要になるからでしょう。

典型的なニーズは、「引退したい」、「お金持ちになりたい」、「誰かに事業を引き継いでもらいたい」、「借金の保証を肩代わりしてほしい」等ですが、なぜ、M&Aを選択するのか、他の選択肢よりもM&Aが望ましい選択肢なのか、をしっかりと検討できていないケースは決して珍しくないというか、むしろレアケースと言えるわけです。

「M&Aばかりを優先すると、より良い結果を逃す」ことに途中で気づき、M&A相手との交渉が佳境に入ってから方向転換、M&A活動のすべてが無駄になり、結局何も残らず、時間等の重要な資源を浪費しただけに終わるリスクがあります。

まず最初にM&Aアドバイザーを含む、色々な専門家の意見を聞いて、徹底比較してみるべきでしょう。

業者都合の営業トークが嫌いな方であれば、ご自身で、数冊専門書を読破し、どういう可能性、リスクがありそうかを検討されるべきです。

 

M&Aと似て非なる業者とは?

ニーズが様々であれば、検討すべき手段も様々になるはずです。

上場(IPOコンサル)、融資(銀行等)、増資・メザニン等(伝統的M&Aアドバイザーの範囲内)でお金問題は解決できるかもしれませんし、

経営資源不足であれば、単独での改善(経営コンサルタント)や業務提携(経営コンサルタント・金融機関・士業等)、資本提携(伝統的M&Aアドバイザーの範囲内)、人材育成や人材調達(人材サービス)によって、

窮状・再生であれば、再生(弁護士、再生コンサル)、リスケ(銀行)、DIPファイナンス(銀行、弁護士)、会社精算(司法書士、弁護士)によって、

実は、税金問題であれば、節税策(税理士)によって、解決できるかもしれません。

ちなみに、

・M&Aマッチング会社(主に両手M&A仲介タイプ)はM&A仲介のみ(相手探しと最低限の事務)ですが、

・伝統的なM&Aバンカーは上記の大半を包括した最適ソリューションを内部/外部専門家と協業して実現してくれたりします。

 

事業目利き力が最重要

M&Aは、100%株式譲渡だけではありません。操る人の手腕次第で、非常に柔軟な問題解決ツールになりえます。

しかし、一方で、M&Aは万能ツールでもありません

となると、「M&Aが有力な選択肢だろう」、と考えが固まりつつあるならば、まず最初に、「M&A以外の解決策の相談にも乗ってくれそうなM&Aの専門家」に相談してみるのが一番かもしれません。

おそらく、全ての機能を併せ持つような会社は存在しませんが、やはり「事業(ビジネス)」に関する目利き力がある相談相手を選ぶことが重要と思います。

金融、法制度、税金、マッチング等は、後回しでOKです。

なぜならば、関係者が共通して最大の関心を示すのが、「事業(ビジネス)が生み出すであろうキャッシュフローの規模・性質・成長性・安定度」だからです。

それが正確に理解できさえすれば、その他の要素は半自動的に決まってくるのですから。

 

事業(ビジネス)についての見識がある相手であれば、M&A以外のソリューションについても用意している可能性が高く、様々な選択肢の中からベストな選択肢を選び、場合によっては並行してM&AとM&A以外の方法を同時にサポートしてくれる場合もあります。

 

専門家を選ぶ際の大事ポイントは「」と「信用」ですが、

・「」としては、事業ファイナンスM&A等の相手のいるディールという3点セットについて、オーナーのニーズ及びターゲット企業とフィットしていて、結果を期待できる、

・「信用」としては、親身に相談してくれ、絶対的味方として、利益相反リスクを徹底排除しているので、交渉中盤以降での裏切りもない、

が重要ポイントとなります。

 

M&A業域問題

M&Aに係わらず、複雑系問題に対処するソリューションを提供するベンダーにとってしばしば発生するのが、いわゆる「業域問題」というものです。

最良の方策がM&Aとは限りません

M&Aアドバイザーは、ときに、経営コンサルタント、IPOコンサルタント、再生コンサルタント、顧問弁護士、顧問税理士などと業域が重なります。

 

M&A以外の方法ってありますか?」という質問に真剣に回答してくれるなら、かなりの高得点でしょう。

M&A以外の方法であっても、うちの〇〇部隊ならご相談に乗れますよ」とPlan Bを用意できる先ならさらにポイントプラスです。

(ただし、お互いに損をするので、M&Aの契約を締結する前に相談しましょう。)

逆に、

「ろくに代替案も示さずに、「M&Aしかない」、「すぐに実施すべき」、と思い込ませようとする」アドバイザーは危険信号です。

「自分のボーナスの方が、クライアントの人生や会社の将来よりも重要」と表明しているのと同じですので。

 

SCAが提供可能なサービス

ちなみに弊社SCAは、代表の運営する公認会計士事務所にて、経営コンサル資金調達コンサル等も同時提供が可能であり、クライアントの本当のニーズ実現に貢献すべく、M&AとM&A以外の選択肢を同時に検討したい場合にも、ほぼワンストップでご相談いただけます。

また、弊社SCAは、メンバー全員が何らかの形で、(アドバイザー、コンサル、金融といった裏方ではない)「実業」の創業や事業経営に深く携わった(ている)メンバーのみなので、徹底的に事業に関する議論をできるケースが多い点もセールスポイントの一つです。

なんらかの「ユニークな強み」があれば、企業規模不問でご相談に乗ることができますが、逆に「ユニークな強み」に乏しい会社の場合、規模の大きさにかかわらず、他のM&A助言会社(大規模なら投資銀行・銀行・証券、中規模なら独立系M&Aハウス、零細ならネット仲介、零細・特定業種なら両手M&A仲介等)を推奨しています。

 

 

 

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