2019
10.15

M&A会社売却:ズルいM&AとズルくないM&A

M&Aで会社売却をする心構え, M&Aのチーム管理

とかく誤解されやすく、また誤解されても仕方のないことも起きやすいM&Aの世界について、「あるべき理想的なM&A」と絡めてご説明したいと思います。

ズルいM&Aをしたと批判されることなく、気持ちのよい王道M&Aで、「三方よし」を目指してください。

 

ズルいM&Aとは?

まず、ズルいM&Aとは、こういうイメージではないでしょうか?

 

  • 「M&Aとは、実業に関係しない金融屋とかマッチング屋が、相手を探してマッチングするだけで、数千万円とか数億円の手数料をさらっていくマネーゲームだ。けしからん。」
  • 「M&A屋が高く売るなんていうのは、相場を上回った高値掴みをさせることと同義であり、嘘八百によって良心的な買い手企業を騙すしかないわけだから、詐欺みたいなものだ。けしからん。」
  • 「M&Aの専門家とやらが、必死にやるのは、やれタックスプランだとか、レバレッジだとか、実業とはかけ離れたマネーゲームだ。けしからん。」
  • 「M&Aで暗躍する投資ファンドなどというものは、人の弱みに付け込んで安く買い、会社をバラバラに分解して、転売するハゲタカしかいない。けしからん。」

 

全部、大間違いです。

少なくとも、ビジネスへの情熱をもって、正しいM&Aを目指す人が深く関与しているM&Aならば、全部大間違いです。

 

とにかく変化を嫌い失敗リスクを避けて挑戦しない超安定志向の経営者よりも、M&Aという変化やストレスの伴う飛躍の機会を活用せんとする経営者の方が、はるかに偉大(グレート)であると考えられます。

正しいM&Aをするのは、平常とはかけ離れた努力、変化や不安を伴う、経営上の選択肢なのですから。

 

ズルいM&Aとは、ビジネスへの理解、ビジネスをもっと良くしようという心意気を伴わず、

自己都合で決めた相場でマッチング大量提案マッチング貢献なくても色々フィーといった、M&Aにおいて最も重視すべき王道を軽んじたM&A、重厚な歴史で紡がれたコーポレートファイナスの世界を愚弄したM&Aです。

ビジネスをより良くする」という大義があれば、税務、法務、金融の高度な技術を駆使しても非難される謂れはありませんし、「ビジネスを伸ばす」ことに比べれば、これらテクニックの影響は通常たかが知れたものですから、過剰反応しても意味がありません。

 

ズルくないM&A(三方よしのM&A)

先人の知恵、格言には含蓄があります。

三方よし

売り手も、買い手も満足し、さらに社会貢献する商いが「三方よし」で、よい商売という意味です。

 

M&Aも同じでしょう。

 

しかし、中堅中小M&Aで多いのが「買い手まあまあよし、売り手と社会貢献にとっては全然ダメ、三方以外の仲介屋がなぜか一番よし」なM&Aです。

できるだけ「売り手よし、買い手よし、社会にも貢献」というM&Aをしたいと思いませんか?

これならズルくないM&Aと、良識のある人は認めてくれるはずです。

 

全然ダメなM&Aをしないようにするには、やはり、まずは知る、自分で調べて検証する、が第一歩でしょう。

 

M&A普遍の真理とは?

普遍の真理、原理原則から改めて整理してみましょう。

 

M&Aとは「事業(ビジネス)の経営権(コントロール権)を第三者に譲り渡す取引」であり、「過去ではなく」「将来のキャッシュフローを原資に」「関係者に分配する」取引です。

亜流もありますが、すべてのM&Aの本質は、必ずここに回帰します。

 

上場とM&Aの異同点

なぜか賞賛されやすい上場とも比較してみましょう。

上場は、アマ投資家を含みお金を集めるので公共性が高いため、実態面の審査等もありますが金融マンによるチェックにとどまり、むしろ形式チェックを重視するプロセスですが、

M&Aは、プロ同士で、単独ではできない事業の新たな方向性を作り上げるため、より深みのあって面白い、建設的・実質的プロセスと言えます。

オーナーが全部又は一部変わるのは上場もM&Aも同じ、

経営者が交代するケースが多いのがM&Aで、まず変わらないのが上場です。

M&Aでも経営者続投するケースもたくさんあります。非上場のまま資金調達をメインにM&Aしたってよいのです。

 

王道M&A

ビジネスがより伸びる形を目指す、単独よりももっと伸びやすくなる、外部者の新鮮アイデアが加わるからもっと安定・成長が見込める、というのが、理想的な王道M&Aです。

これらが上手くいくのであれば、お金は後からついてきます。 ←重要

起業経験のある創業者の方であれば、大きくうなずいていただける部分だと思います。

より有利に、関係者がよりハッピーになるように、法務、税務、ファイナスの専門技術を駆使することも、王道M&Aの一環です。

 

つまり、王道を歩み、歪んだ交渉をせず、誠実に、適正に交渉することにさえ気を付ければよいだけです。

ビジネスを大事に考えてくれそうなM&Aアドバイザーを選ぶことで、M&Aの頂は近づくはずです。

 

これで、1つめの売り手よし、2つめの買い手よしは達成できます。

高く売れるし、出しても良いと思える金額未満で買えるので、売り手と買い手はハッピーです。

ところで、M&Aで大事な評価指標である企業価値は「事業の持続性」も重要要素ですから、3つめの社会貢献してないビジネスは、事業の持続可能性において低評価になりがちです。

しかし、強みのあるビジネスであれば、M&A準備中や交渉中に、より社会貢献しやすい形に変化させることも可能な場合も多いものです。

さらに、M&Aという上場よりも多く面でメリットのある、起業家の大事な出口(イグジット)において、売り手が大成功すれば、起業する人が増え、産業界の新陳代謝が進み、社会全体が潤いますから、適正な形でできるだけ高く売るという行為だけでも、社会貢献につながります。後ろめたさを感じることはなく、むしろ、高く売ったらより偉大(グレート)なのです。

これで「三方よし」のM&Aが完成しました。

 

M&Aアドバイザーには、その貢献に応じて、相応の報酬を払ってあげればよい、ということになります。

報酬貢献度合いで決めるのが筋ですので。

 

謂れなき批判

会社を売る行為自体、会社を高く売ろうとする考えを、批判されることがあるかもしれませんが、無視すればよいだけです。

批判する彼は、高校生時代に頑張って大学入試のために努力し、見事難関大学に合格、大企業に入社したため、一生の安定が約束されると思い込んでいる時代錯誤のサラリーマンあたりでしょう。

 

 

結論

M&Aにおいて、正しい考え方は、これしかありません。

  • M&Aという機会を、ビジネスをより良くすることに集中して、フル活用すること、
  • 貢献やリスクテイクに応じた公平な分配の精神で取引条件を交渉して決めること、
  • ビジネス第一のサポート役と徹底的に準備すること

です。

 

 

 

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